こちらのページでは、運営委員が「ことばにならないもの展」に対して思っていることを更新していきます。


2019.1.8

 

コラム_02 フライヤーイラスト担当 平戸さんインタビュー

 

出展者の一人でもある平戸理子さんには、募集チラシ・9月のフライヤー・今回の振り替え展示公演用と、計3回にわたってことばにならないもの展のイメージイラストを担当していただきました。

今年9月にことばにならないもの展にまつわることを平戸さんにインタビューさせていただきましたが、胆振東部地震が発生に伴ってこの展覧会を中止し、インタビューの公開も見送らせていただきました。

今回、振り替え展示公演を開催するにあたって「昨年夏に話したことではあるけれど振り替え展示公演にも繋がっていくことばかりだ!」ということを感じ、運営と平戸さんの対談を公開いたします。

お時間のあるときにぜひご一読ください。

 

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ーよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

 

ーではまず、完成したフライヤー(9月のフライヤー)についてお聞きしたいのですが、平戸さんは完成したフライヤーを見たときにどんなことを思いましたか?

 

まさに今日(取材日)手にとったのも初めてです。私に頼んでくれて、こういうプロローグがあるのでお願いします、って言われて描いてもあの絵は出来上がらないだろうなという思いが強くて、まず、そうね、暗い?暗いっていうか、最初のうちは閉鎖的な絵を描いていたし、どう…どれだけ自分一人で考えてもあの絵にたどり着けなかったと思います。それこそ運営の人たちとのやりとりがあったからこそ、視界がひらけた気がしているし、視点も変わりました。うーん、なんだろ、たどり着いた感じするよね。ここだったよね、やっぱり。みたいな。

 

ーありがとうございます。たどり着いたような、ひらけたような印象は私たちも感じました。イラストの制作過程では、平戸さんの出してくださったアイデアに運営が感想や意見などを送り合うなど、やりとりがありました。その作業で難しかったことなどありましたか?

 

イラストが本職ではない分不安があって、客観的に見たらどうなるんだろうと思っていました。作家募集用のチラシのとき、ラフを3パターン考えたのでお願いしますって言って意見をもらったとき、自分の意図してない見え方というか、ラフの段階ではわりかし適当に書いたところが(運営に)ヒットしたりとか、自分の意図してないところが受けるのがあったので難しいっていうよりは助けられっぱなしでした。

 

 

ー数回にわたり、運営もたくさん意見を言わせていただきました。では、平戸さんの中で、作家募集用のフライヤー(画像2)と9月の展示公演用のフライヤーとの相違点はありますか?

 

9月の展示公演用のフライヤーのイラストを考え始めた時に、作家募集用のフライヤーから雰囲気をガラッと変える案も運営ではありましたが、私の中では変えたくないなっていうのがすごくありました。黒でも一旦広めたものだから、ガラッと変えてしまうと募集と展示が繋がらなくなってしまうんじゃないかなっていう考えもあって、なんなら作家募集用のフライヤーに色を乗せてモチーフ化していくというのを考えていて。今回自分が出展する作品にも海が関係するんですけど、私の中の海のイメージは、”言葉にならなくてたゆたっている”という感じです。だから海というモチーフからは離れたくないってのがありました。

9月の展示公演用のフライヤー制作の最初のうちは、結構作家募集用のフライヤーの”足元と海”にこだわっていたけど、同じ場面だけど横から引いてみるとか運営から視点を変えるという意見をもらって、描いているものは同じだけど全然印象が変わりました。

宣伝のためのものだから、パッと目についたほうがいいなと思い、色味は運営の皆さんからもらった意見を取り入れ、最初自分が思ったよりも色鮮やかになりました。

 

ー平戸さんは、この展覧会に出展もしていただきます。宣伝美術と作品で影響を与えあったりした部分はありましたか?

 

影響を与え合う点に関してはそんなになくて、ただ、海っていうのが一昨年ぐらいから自分の中ですごくホットワードで、っていうのも、実は私、海に行ったことがなかったんですよ。

 

ーへぇ・・・!!(驚)

 

なんかちっちゃい頃の写真とか見たら砂浜で遊んでるのとかは残ってるんだけど、大学に入ってから友達と海水浴とかが全然なくて、っていう話をしたら、「それは嘘でしょ、流石に一回はあるでしょ」って(笑)。大学入ってから何人かで海に行った時に、本当に初めてきたって気持ちになって、それが自分の中ですごい衝撃的だったんですよね。すごいキラキラしてるし、なんか、綺麗な海だったんですね、そこが。なんか、何だろうな、泳ぎに行くとかそういう具体的なことではなくて、私の中で漠然と海っていうのがすごく大きい存在になっていって。概念みたいな感じになってて、でなんか作品考え始めるときに海が自分の中心になったから、それを形にしたいっていうのがまず自分の個人の作品でいつか作りたいって思ってたのがあって。仮チラシを書くときにも、いくつかラフの案を出した中に”足元と海”っていうのがあったけど、この展示に出すから海がいいとかじゃなくて、どっちにも無意識に出たという感じでした。それぞれもともと自分の中に大きいテーマとしてありました。

 

 

ーでは、少し繋がってくるのですが、普段作品を制作するときはどんなことを考えていますか?

 

映像作品を作ることが多いんですけど、これを伝えたいとかがなくて、いつも。いつもないから、なんかその、空間とかモヤモヤしてることがあっても別に作品にしたいとは思わないんで、さてどうしようってなった時に、どんどん字を書くんですよ。

 

ー字というのは文章ですか?

 

いや、あのー、単語です。一番最初にやる作業がノートの真ん中に広がりそうな単語を書いて、そこから線を出していって関連する言葉をつなげてノート一枚埋めるっていうのをやってて、で、その中でさらにグッとくるこれだ!っていうワードを色ペンで囲んで、それを抜き出して、じゃあ別で今これに興味があるからその単語をテーマにしてこんな感じの作品にしようかなあみたいな感じで、ひねり出してるに近くて(笑)。という感じなので、今回フライヤー最初に作るときも普段自分が作品作る時ほど具体的ではないけれど、確か単語書いてた気がして、でどういうモチーフがいいかなって考えていた気がします。

 

ーでは、展覧会についてお聞きします。ことばにならないもの展は、(9月の時点で)劇場でやる展覧会でしたし、展示作品のみならずパフォーマンスの公演もあります。正直、どういうこと?って聞かれたりすることが多かったのですが、最初にことばにならないもの展のイラストをお願いしたときに、平戸さんはどう思いましたか?

 

たしか最初に連絡きたのがみさきちゃん(代表の小原)からで、「こういう展示をするんですけどフライヤーお願いできますか?」ってラインがきて、単純に嬉しくて、なぜかっていうと、仲が良いからという理由ではなくてプロローグを理解してもらえそうだから頼んでくれたというのが本当に嬉しくて。

 私自身イラストレーション研究室じゃないからいろんな案を出しながらやってた時も弱音を吐いたりしたけど、すごく嬉しかったです。

 

プロローグを読む前に展覧会のタイトルを聞いて、その時ちょうど私個人的なんですけど 言葉にできないことが多すぎて悩んでいた時期で。

細かい趣旨とは違うんですけど、”言葉にできない”じゃなくて、”言葉にならない”。言葉にならないものもあるし、思いを文字にできない、ちょうどそのどっちもに悩んでいて。そういうことを考えている時期と重なってていたからすんなり作業に入れたので、逆にあの時期にこのお話をもらえてよかったなって思います。

私は自分なりの解釈はすっとできて、この展覧会を一回も難しいなあとか思ったことがなくて、最初いろんなモチーフ書いたけどいろんな側面からどうモチーフにしていこうかなというのは割とすっと考えていけました。

 

ーありがとうございました。

 

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インタビューを読んで改めてイラストを見ると、また違った視点が生まれるのではないでしょうか?



「ことばにならないもの展 振り替え展示公演」は、1月18日(金)より北海道教育大学A&S文化複合施設HUGにて開催です。平戸さんの作品はもちろん、「ことば に ならないもの は ある ある?」というプロローグを出発点とした作品が多数展示・公演されます。

みなさまのご来場をお待ちしております!

 


2018. 6.30 Sat

 

コラム_01 ことばにならないもの展に関わることについて考えてみる その5

 

言葉ははっきりと形を与えます。
曖昧な言葉でさえ、断定する力があると感じます。
言葉にすることで輪郭が引かれ(だれかと共有することができないとしても)、

その隙間がうまれ、こぼれ落ちるものがある。

 

それをまた拾い上げようとする。生きているあいだずっと、何度も。

 

そうした行為はひとによって実に様々な手段で行われているように思います。

 

ごまかしのためにはにかむこと、深爪してしまうこと、
自分のために晩御飯を作ること、お釣りを手渡すこと、
折り畳み傘を携えること、夜深くにネットを開くこと、それから、
絵を描くことも、詩を書くことも、踊ることも、演じることも。

 

何もかもが、言葉の隙間にあるものを拾う手段なのではないか。
そうした意味ではだれも垣根がなく、ともにいられる、と思うのです。

 

だからこそ。

コンカリーニョで、この展覧会名で、このプロローグで、

展示の区画とパフォーマンスの区画を設けて、
展覧会を開こうとしています。

 

あくまでも私個人の思いです。
このプロローグから出発して、たくさんの人がたくさんの方法で、
なにかを思うことができたら、と願っています。

 

運営委員 O.M

 


2018.6.30 Sat

 

コラム_01 ことばにならないもの展に関わることについて考えてみる その4

 

会場となっているコンカリーニョは普段演劇の舞台として使われている場所です
普段は演劇の舞台として使われているこの場所で行うことは
垣根を越えた様々な「芸術(アート)」を生むこと出来るのではないかと考えています
 
劇場という広い空間だからこそことばにならないものを
さまざまな表現をすることができます
それをみなさんにも表現してもらいたく今回の展覧会では特に制限を設けていません
 
絵で、文字で、身体で、音で
あなたの中に眠ることばにならない、そんなものを表現して欲しいです
 
普段芸術に触れていなかったみなさんも
アーティストのことばにならないもの、いろんな表現を見て
あなたの何かきっかけになればと思います

 

運営委員 K.M

 


2018.6.24 Sun

 

コラム_01 ことばにならないもの展に関わることについて考えてみる その3

 

 ことばにするということは、人と人との関わりあいにおいて身近である反面、わたしたちはその不確かさに惑わされることがあります。

 

「言ってること、伝わってる?」

 

「あれほんとうはどういう意味だったの」

 

「そういう意味じゃないんだけど、うーん」

 

 もう何もわかることができないと悲観してしまいそうになるのに、それでもわたしたちは、ことばを使って生きていく。完璧には難しくても、何かが伝わることを信じてことばを発する。

 

 この世には作品をつくる人、そしてそれを見る人が存在します。作品は、ひとりや多くの人に向かって開かれるから作品であり、そして作者以外の誰かに見られてまた作品となります。作品を見たりみられたりすることは、ことばにするのとは違った人と人との関わりあいとも考えられます。

 

 そして劇場とは、生身の人間が存在し、出会い、ことばが発される場所ともいえます。そんな空間でいつもとは違う作品や人と出会いともに過ごす時間をつくりたいと考えています。

 

 くくらないし、まとめないし、決めつけないから、あなたのことばやことばにならないものを見せてほしい。そして、そういう体験をいまここに生きるわたしたちがすることには、大きな価値があると考えています。

 

 この展覧会で何かがちょっとでもよくなればと願っています。

 

運営委員 H.Y

 

 


 

2018.6.22.Fri

 

コラム_01 ことばにならないもの展に関わることについて考えてみる その2

 

 私にとって「ことばにならない展」とは新しい試みであり、人と人、人と作品の出会いの場でした。

 

 私はアートを見る場所はギャラリーや美術館、劇場は演劇を見る場所というイメージがある方が多いのかなと感じています。どちらも、興味がある人は情報を集め、来てくださるのですが、お客様は同じ方ばかりでお客様が循環しているのではないかと考えました。

 

 通常、演劇の公演をすることが多いコンカリーニョでアート展をすることで、作家さんなどの芸術に関わる人たちと演劇に関わる人たちが繋がり、双方ともに盛り上がってくれたらと存じます。また、コンカリーニョの利用方法の一つとして、コンカリーニョで行われるアート展が増えてくれると嬉しいなと存じます。


 この「ことばにならないもの展」を通じて交流することがなかった人たちが交流し、そこからまた新しいものが生まれてくれることを願っています。

 

運営委員 K.H

 


 

2018.6.14.Thu

 

コラム_01 ことばにならないもの展に関わることについて考えてみる

 

 ことばにならないものはないって言えば、この心にあるモヤモヤはどうしたらいいの?と思います。ことばにならないものはあるって言えば、今までもこれからも言葉にしようと努力してきたものはどうなるの?とも思います。その答えなんて求めなくてもいいと私は思います。それを表していくことも良いことだと思っています。

 

 この展覧会をやる意味は、様々な面から見て色々あります。

 コンカリーニョという劇場でやるから普段見れない環境でやる面白さがあったり、劇場側出展側はいつもとは違うお客さんが来たり、美術館とは違う幅の広がりが見れたり。

 

 その答えというのは私も正直言ってわかりません。

 どれも正解だと思うし、違う意見が出ても否定はできないです。

 でも、この答えは、この展覧会をやる過程、結果から見えてくるものがあると私は思って取り組んでいます。

 

 ただ今は、この展覧会が作家の皆さんと劇場と、来てくださる方々が、少しでも今後につながるような出会いになっていくことを願っています。

 

運営委員 M.W